コラム

花言葉は誰がどうやって決めるの?花言葉に想いを乗せて大切な人に素敵な花を贈ろう

大切な人に花を贈る時、花言葉を気にしたことはありますか?

花には、その花を象徴する「花言葉」があります。花言葉に想いを込めたり、メッセージを乗せたりしてプレゼントする人も多いですし、中には花言葉から贈る花を選ぶ人もいます。

花言葉は一体誰がどのように決めているのでしょうか。

今回は花言葉について、その歴史や代表的なものを紹介していきます。

<花言葉の歴史>

花言葉の歴史を遡っていくと、17世紀ごろのオスマン帝国に辿り着きます。

現在のトルコがある場所で栄えていたオスマン帝国では、「セラム」という風習がありました。「セラム」とは、言葉ではなく”もの”に想いを込めて贈る風習で、小箱にプレゼントを入れて恋人や想い人に届けていたそうです。その中にはもちろん花もあり、花に想いを込めて贈るというこの風習が、後の「花言葉」につながったとされています。

このトルコの風習は、ヨーロッパへと伝わり、フランスの貴族女性たちの間で流行しました。愛の国フランスでは、花に愛に関する言葉を込めて、求愛のシーンでその気持ちを花に託して愛する人に贈るようになりました。

花言葉に愛や恋にまつわるものが多いのは、こんな歴史的背景があったからなのですね。

それから、花言葉は世界中へと広まっていきました。

日本には明治時代に伝わり、時代の変化とともに多くの花に「花言葉」がつけられるようになりました。

花言葉の決め方

花言葉は一体誰がどうやって決めているのでしょうか。

花言葉には決まりがありません。

ひとつの花に複数の花言葉があるように、正式に「コレ」と決められた花言葉はなく、どこかの誰かが言い出した花言葉がそのまま定着したという流れでつけられてきたのです。

ただ、花言葉の役目のひとつとして「宣伝文句」や「販売戦略」というものがあります。

花に意味やメッセージ性をもたせることで、その花を売り込もうという花業界の意図ですね。そういった「売り込み」系の花言葉は、花業界の団体が中心となって定めていると言われています。

特に、新種を開発して販売する際に花言葉をつける場合には、開発者や販売者が独自に花言葉を決めるということが多いようです。

花言葉の由来

花言葉がつけられる背景には、必ず由来があります。

意味も無く花言葉が与えられることはなく、なんらかの逸話やイメージをもとに花言葉は誕生するのです。

その由来の例をいくつか見ていきましょう。

[ギリシャ神話や伝説]

ヨーロッパの人々に馴染み深いギリシャ神話や伝説に登場する花は、その物語をもとに花言葉がつけられることが多いです。

例えば、アネモネの花言葉は「はかない恋」ですが、これはアフロディテという女神がアドニスという美少年に恋し、彼が亡くなった時に流した涙から咲いた花という伝説に基づいてつけられた言葉です。

ナルシストの語源となった、水面に映る自身に陶酔したナルシスが亡くなった後に水仙が咲いたという言い伝えにより、水仙の花言葉は「うぬぼれ」となっています。

[花の特性や特徴]

花の姿かたちや特性・特徴をもとに花言葉が生まれることもあります。

例えば、うつむく人の顔を連想させるパンジーは「物思い」、丈夫なカモミールは「苦難に耐える」、美しい姿ながら香りの無い椿は「謙虚」など、花のイメージから花言葉がつけられるケースも多いようです。

[色のイメージ]

同じ花でも色によって花言葉は変わります。

その理由には、もちろん神話や伝説などが影響していることもありますが、単純に色のイメージによって花言葉が変わるということが少なくありません。

赤い花は「情熱」や「熱烈」といった言葉と愛を結び付けた花言葉が多くなります。ピンク色は赤よりも可愛らしい恋の言葉が多くなります。

白は「純真」や「無垢」など、まさに色そのもののイメージの花言葉が多く、黄色は「嫉妬」や「裏切り」などあまり良くないイメージの言葉がつきやすい特徴があります。

このように色によっても花言葉が変わるため、贈る花を選ぶ時は色にも注意しなければなりません。

<代表的な花言葉>

バラやチューリップ、桜など、ポピュラーな花の花言葉をまとめました。

色別に花言葉がついているものは、色別でご紹介します。

[バラ]

愛・恋・美

赤:あなたを愛しています・愛情・情熱・熱烈な恋・美

ピンク:しとやか・上品・感銘

白:純潔・深い尊敬

黄色:嫉妬

[ユリ]

無垢・純粋・威厳

[ヒマワリ]

あなただけを見つめる・崇拝・愛慕

[カスミソウ]

無邪気・清らかな心・親切・幸福

[カーネーション]

無垢の深い愛

赤:母の愛

ピンク:感謝の心・上品

白:尊敬・純愛・亡き母を忍ぶ

黄色:軽蔑・嫉妬

[チューリップ]

思いやり

赤:愛の告白

ピンク:幸せの芽生え

オレンジ:照れ屋

黄色:望みのない恋

[オリーブ]

知恵・平和

[桜]

精神美・優美な女性・純潔

[ナノハナ]

快活・明るさ

[スミレ]

謙虚・誠実・小さな幸せ

胡蝶蘭

幸せが飛んでくる・純愛

[アサガオ]

はかない恋・愛情・かたい絆

[コスモス]

乙女の真心・愛情

[スズラン]

再び幸せが訪れる・謙虚・純粋

[梅]

忍耐・忠実・高潔

[イチョウ]

長寿・荘厳・鎮魂

[菊]

高潔・高貴・高尚

花言葉の注意!花屋さんで聞かない方がいいってホント?

花に想いやメッセージを込めて大切な人に贈るのはとても素敵なことです。

花を選ぶときは、花言葉もしっかりと分かった上で選びたいですよね。

しかし、花屋さんで花言葉を聞く際には少し注意が必要です。

実は、花屋に勤めている店員さんの中には花言葉を聞かれるのをあまり良く思っていない人がいるからです。

その理由は、「花言葉は絶対のものではないし、全ての花言葉を知っているわけではない」というものです。

本記事でも解説した通り、花言葉は長い歴史の中で神話や伝説、花のイメージなどをもとに「なんとなく決まっていったもの」か、花業界の団体が販売戦略として「宣伝文句のようにつけたもの」か、このどちらかになることが一般的です。

つまり、花言葉だけを気にして「こういう花言葉ならいらない」とか「この花言葉の花だけで花束を作ってほしい」とか、そういった要望を花屋さんにぶつけてしまうと困惑させてしまうことがあるのです。

花言葉を重視して花を選びたいときは、花屋の店員さんを頼るのではなく自分でインターネットや本などで調べるのが良さそうです。

本当に伝えたい想いや気持ちは言葉に乗せて

花言葉に想いを込めて、大切な人に花を贈るのは素敵なことですが、贈った相手が花言葉を知っているとは限りません。

また、花言葉に興味がある人ならば自ら調べることがあるかもしれませんが、調べない人も多いです。

そのため、本当に伝えたい想いや気持ちは、花に託すだけでなくきちんと言葉として伝えるようにしましょう。あるいは「花言葉を調べてみて」と言ってみたり、「この花の花言葉は○○だよ」と言ってみたり、遠回しに伝えて気持ちを伝えるのもひとつの手です。

花に込められた言葉を上手に生かして、大切な人に気持ちを伝えてみてください。